金スマでオードリー特集を見た感想

 これがいわゆる「第二次オードリーバブル」というものなのだろうか。深夜ラジオスターという狭い世界で覇権を握っていた二人が、金スマという超マジョリティ番組に特集されたのだ。しかも二時間丸ごとである。いくらオードリーが20周年(ナイスミドル時代から数えて)だからと言って、これはやり過ぎである。「ま、どうせ知ってることだらけだろうな」と土曜のオールナイトの予習のつもりで視聴した。

 春日の髪を切り続けた若林、生徒会の演説で泣いてしまった春日など、耳にタコができるくらい繰り返し聞いた二人の鉄板トーク。結婚までの馴れ初めなど、「なんだ、ラジオの再放送か」と私はがっかりしていた。しかし若林が泣くシーンが流れた瞬間、私はテレビの前から離れられなくなった。

 父親が隠れた。家族が少ない、減った。これらの表現で大爆笑していた春日の存在もあってか、若林はラジオで父親の死についてあまり深く話すことがなかった。そのため、私は「そこまで父親を好きではなかったのかな」と思っていた。

 しかし、違ったのだ。結婚を決めた理由も、ナナメを辞めた理由も全て父親の死が深く関係していた。私は感動し、六歳の子供がいないにも関わらず、号泣してしまった。

 父親の死、というハードすぎる経験をも笑いに昇華させてしまう若林さんは本当に格好いいし、尊敬できる。私もイタコの漫才とまではいかなくとも、日々の経験を笑い話にできるような人間になりたい。